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ひさしぶりの岩波ホール

ひさびさに岩波ホールに足を運んだのは『パリ20区、僕たちのクラス』(2008、フランス、ローラン・カンテ監督)を観るため。とても素晴らしい映画だが、それについてはまたあらためて書くとして、この映画館にはすっかりご無沙汰していた。最後に行ったのは、パンフレットの封切り映画一覧表と記憶を照らし合わせると、どうやら2002年のことのようだ。羽田澄子監督の『原始、女性は太陽であった 平塚らいてうの生涯』を、アルゼンチン生まれのフェミニストで当時日本に留学中だった友人に連れられて行ったのだった。 

初めて岩波ホールを知ったのも、年上の友人に連れられてのことだった。『伽倻子のために』という1984年の日本映画で、南果歩さんのデビュー作だったと思う。それから『オフィシャル・ストーリー』『ローザ・ルクセンブルグ』……『アントニア』等。岩波ホールで上映された映画のほんの一部にすぎないけれど、どれも大きな街の映画館では観られないような作品ばかりだ。そして、観たいと思った映画はほとんど見逃すことがないのが、ここのすごいところ。もちろん、自分が忙しくて時間がとれない(子どもが生まれてからはとくに)ということはあっても、強く願っているときはたいていかなう。いわゆるナントカ映画祭や、マイナー(とされている)な映画によくある時間帯を限定した上映、あっという間に終わってしまうそれとは違い、一日数回・数週間の上映期間が保証されているからだ。

私の学生時代には、まだ名画座が東京のあちこちにあって、1000円ちょっとでいろんな映画を観ることができた。そんななかで岩波ホールはちょっと敷居が高かったものだけれど、今となっては四十年近くもこんな場所が守られていることを嬉しく思う。