デング熱のこと

 今年も2月から3月にかけて南米南部を訪問しました。アルゼンチンに入国した3月のある日、知人宅を訪れたところ、看護師をしているファミリーのひとりから、今アルゼンチンでは蚊が媒介する「デング熱」が流行っているので気をつけるように言われ、虫よけの塗り薬をプレゼントされました。デング熱は蚊の吸血活動を通じて人から人へ感染する病気です。(詳しくは下記引用文を)旅行中に発熱して入院にでもなったら大変…と極力肌を露出しないよう気を付けていましたが、蚊にさされそうになるたび、ヒヤッとしたものです。

蚊に刺されてから3~7日程度で高熱のほか、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状が見られれば、デング熱の可能性もあります。また、デング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあります。そのため、早めに医療機関を受診してください。(厚生労働省HP)

▼現地で人気の虫よけ

 

 

 そういえば、2010年代半ばには、アルゼンチンやブラジルで蚊が媒介するジカウィルスが流行りました。妊婦が感染すると胎児に影響をおよぼすということで、かなりのパニックになっていたことをおぼえています。このとき、とくにアルゼンチン北部でデング熱も合わせて警戒が呼びかけられました。しかし今回は様子がちがうようです。

 実際、身近なところでも感染者が出ており、3月初めにはブエノスアイレスの友人家族が感染し寝込んだときいています。高熱はでたが、とくに命に別状なかったとのこと。そしてごく最近、ブエノスアイレスに次ぐ第二の都市コルドバで友人の友人が亡くなったという話を聞きました。40代半ばの方だったそうです… 

 下記リンクのアルゼンチンのメディアによれば、アルゼンチン保健省の調べで2023-24年のシーズン(南半球の夏)に国民10万人に495件の割合でデング熱が発症していて、死者は161人。とくに2024年に入ってから先週(4/8時点)までの死者が129人にのぼっているとのことです。今回の特徴は、ブエノスアイレスやコルドバのような、これまであまり感染が報告されてこなかった都市圏で感染者が出ていることです。

 このような事態はアルゼンチンに限ったことではなく、2000年から2019年の間に世界で報告された症例が50万人から520万人に急増しているとWHO(世界保健機関)も注意喚起しています。*1 厚生省や世界保健機関が日本語での情報を提供しているところからみると、日本にいれば無関係というわけにはいかないようです。

 話はアルゼンチンに戻りますが、大胆な公共支出の削減を謳って大統領に当選したミレイ大統領は、このデング熱の流行に対して、ワクチン接種にも消極的で、特別な対策をとるつもりはないと批判を浴びています。蚊がいなくなる季節まで待とうということでしょうか。

 

www.eldiarioar.com

 

アルゼンチン保健省のトップページに掲載されている動画。


www.youtube.com

 

参考になるサイト

デング熱について|厚生労働省

国立感染症研究所

 

 

www.niid.go.jp