ドキュメンタリー映画2本

 劇場公開時に見逃したアルゼンチンつながりのドキュメンタリー映画を2本観ました。

 

ひとつめは、タンゴの起源がフィンランドにあると聞いて、これは「聞き捨てならぬ!!!」とばかりにフィンランドへ乗り込んだ、3人のアルゼンチン人のタンゴ音楽家の道中記。

映画『白夜のタンゴ』公式ウェブサイト

初めて知ったのですが、タンゴの発祥について、フィンランドで培われたものが、船乗りたちによってブエノスアイレスに持ち込まれたという説があるのだそうです。今のところ一番優勢なのは、人の移動と共にスペイン、アフリカの音楽がまざりあい、ブエノスアイレス(もしくはモンテビデオ)で花開いたという説ですが、記録を探すのが難しいジャンルのこと、結論を出すのは難しいようです。

だから、これも謎解きの映画とは言えないのですが、フィンランドのタンゴの名曲や、すばらしい音楽家たちとの出会いと、にぎやかな都市ブエノスアイレスとは対極にあると言ってもいいような静かで美しいフィンランドの森林や湖の風景、沈黙の音楽が描かれていて、うっとりします。

白夜のタンゴ [DVD]

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もう一本は、マルタ・アルゲリッチの末娘が監督をつとめたこちら。 

私はピアノ音楽にはうとくて、社会史的な興味で観はじめたのですが、彼女の存在感にひたすら圧倒されます。

若かりし頃の美貌にも、生き方にも… ピアノを始めたのが2歳8か月、8歳でデビュー、十代で国際的な音楽コンクールで優勝したとか。

また、映画の中では12歳と語られているのですが、若くして両親と共にヨーロッパへ移住、そこにもびっくりするようなエピソードがありとても興味深かったです。詳しいことは、DVDでお確かめください。

主な内容はアルゲリッチの人生(いまもご存命ですが)と娘たちを中心とした家族についての物語であり、各地での演奏シーンなども映し出されます。そのなかには別府の音楽祭のものもありました。アルゲリッチには3人の娘さんがいますが、そのなかで母と同じ姓を名乗っているのはひとりだけです。父と母と両方の姓が名乗れる国であっても、やはり「姓」とか親権の問題はややこしいのだな、と思わされた部分でした。

母と娘の親密さを感じさせる監督自身の手による映像が多用されているので、心温まるお話かしら?と思えばさにあらず。さりげない言葉のはしばしに緊張感が走る、スリリングな小説のような映画でした。