思い出の渡良瀬遊水池

 渡良瀬遊水池に行ってきました。遊水池とは、洪水時に下流河道の流量を減らすために、川沿いの低湿地などに、自然または人工的に洪水の一部をためる施設のこと。渡良瀬遊水池は、茨城県古河市の北西に位置し、渡良瀬川、巴波川、思川が合流する低湿地に建設された三つの調節池からできています。全体の面積は3300ヘクタール、総貯水量は約二億トンと大ダムにも匹敵する日本最大の遊水池。さらに隣接する渡良瀬貯水池(谷中湖)は総貯水容量2640万トンに達し、洪水調節と都市用水、農業用水としての機能も兼ねています。*1

 栃木、群馬、埼玉の三県境に近い「道の駅かぞわたらせ」から菜の花の黄色に染まった土手を降りていきます。

白いすみれの咲く野原をとおって…

まごころ橋を渡って…

橋からの景色。柳が青々としています。

 下の写真は谷中湖です。ここはかつて足尾鉱毒事件で被害をうけた谷中村があった場所。「利根川の水害をふせぐ」という理由で利根川の支流である渡良瀬川の「遊水池」が設けられることになり、村の人たちは移住を余儀なくさせられました。

 

 ヨシ原にすむ野鳥などの生き物やたくさんの植物にふれながら、日本の公害の歴史を体感することのできる場所です。この遊水池には、ラムサール条約登録湿地*2となる前の2000年代初め頃、小学生だった子どもを連れて何度か訪れ、両親と行ったこともあります。いつの季節か思い出せないのですが、地域のイベントで、オカリナの奏でる『琵琶湖周航の歌』を聴きながら、母のとなりで目を細めて風に吹かれていた父を思い出しました。

 

おまけ) 地元の銘菓ごかぼをトッピングしたソフトクリーム。

 

道の駅かぞわたらせ

FMわたらせの入るビルの2階には遊水池を知るパネルの展示、3階は展望台となっていて遠くの山々を見渡すことができます。谷中湖の形にちなんだハート形のオブジェもあり、恋人たちの聖地として人気?なのだとか。

 

足尾鉱毒事件といえばこの方。

 

なぜ谷中湖がハート形になったのかについては、こちらのブログが参考になります。

watarase.or.jp

 

 

 

 

*1:土木学会関西支部編『川のなんでも小事典』講談社、2007年

*2:「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」の締約国は、自国の湿地を条約で定められた国際的な基準に従って指定し、条約事務局が管理する「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に掲載します。これが「ラムサール条約湿地」です。環境省HPより