「ゴーレム効果」ということばを聞いたことはあるだろうか。人に対して悪い印象をもって接すると、実際にその影響で相手が悪くなってしまう、というもの。対語が「ピグマリオン効果」。ビジネスや教育の場で注目されている用語だ。おとな相手のビジネスの世界はいざしらず、感じやすい若い人たちと接することの多い教育の場では、このような効果を知っておくのはとても重要なことだと思う。
ここでは米国映画にかぎって、なんらかの「教育の場」での教師のまなざしと生徒たちの関係を描いたものをまとめてみた。学生たちの環境は、ひどく貧しい〜お金持ち、「落ちこぼれ」〜「体制順応型」といろいろで、時代の反映され方も興味深い。
上記の作品はフィクションだが、アントニオ・バンデラスが演じる主役・社交ダンスの教師ピエール・デュレインらが設立したアメリカン・ボールルーム・カンパニーが行っているニューヨークの小学校でのプログラムのドキュメンタリがある。
ステップ! ステップ! ステップ! 2005年
【文学】
いまを生きる 1989年
舞台は1959年のアメリカ合衆国東部。伝統ある全寮制のエリート男子校にやってきた型破りな教師と生徒たちの「化学反応」がみもの。
勇気あるもの 1994年
元広告マンが、はからずも陸軍学校で教えることになって… というお話。
プレシャス 2009年
残念ながら未見。1980年代後半のハーレムで、家庭にめぐまれなかった少女が文章を書くことで変わっていくというストーリーらしい。
【美術】
モナリザ・スマイル 2003年
「良妻賢母」を養成する女子大にあらわれた型破りな教師をジュリア・ロバーツが演じている。時代は1950年代
【スポーツ】
しあわせの隠れ場所 2009年
孤独で貧しい少年が、富裕な一家に迎え入れられ、アメリカンフットボールの選手になるまで。
【歌】
天使にラブソングを2 1993年
説明不要ですね…
ハッピーエンドに終わる物語ばかりではないが、こうした映画は、「いま」苦しい思春期を送っている少年・少女やかれらと接するおとなたちに希望を与えてくれる。そのいっぽうで、こうした映画が作り続けられるのは、多感な時期を生き延びてきたはずのおとなも、こうした物語を必要としているからかもしれない。誰か、なにかのきっかけが、昔の自分に「今のような自分でない」自分になるチャンスを与えてくれたのだったら… というような感傷。
もちろん、まだ遅くはない。Carpe diem. いまをつかめ。いまをいきろ。