心の傷と罪

 今度、刑務所内での心の教育を扱った映画(この表現でいいのかは、見てから判断)を観に行くので、いろいろと予習中。過去にも映画にからめてこんな記事を書いたけど、子ども時代に周囲のおとなに大切にされる(または、ふみにじられない)経験がどれほど大事かと思う。

 

rosita.hatenablog.com

 

 最近、十代の頃に見た『アウトサイダー』(フランシス・F・コッポラ監督、1983年)をあらためて見てみたのだが、若い俳優たちの美しさが圧倒的だった。特に、マット・ディロンとダイアン・レインの透明感! 昔観た時はトーマス・ハウエルに目を奪われたけど、今回はエミリオ・エステベス*1の繊細さ、故パトリック・スウェイジの演技にひかれるものがあった。よくぞこの輝きをスクリーンに閉じ込めたものだなあと感心してしまった。

 そして、合衆国南部が舞台のこの映画にほとんどアフリカ系の人たちが登場しないことに驚く。(その点にフォーカスした理由はあとで書く)主人公たちと直接接する人物としてはいなくて、教会のシーンの子どもたちのなかに数人が出てくるだけ。作中のある場面で、主人公がもうひとりの少年に読んでやる小説は、南北戦争をテーマにした『風と共に去りぬ』だ。この作品を映画化した同名の映画は、南部の社会を理想化しているとして、最近は但し書き付きで上映されるようになっている。

 ざっとあらすじを書いておくと、1960年代の米国、オクラホマ州タルサで二つの対立する不良少年グループーお金持ちのソッシュと貧しい人びとのグループ、グリーサーーのグリーサーの一人がソッシュの一人をあやまって刺し殺してしまうところから物語が始まる。この、はずみで罪を犯してしまった少年は、家族からネグレクトされて育ち、心にトラウマを抱えている。だが、逃避行の中で、友人に本を読んでもらい、自然の美しさを歌った詩にふれて、心の落ち着きをとりもどしていく。ところが… 続きはどうぞ映画を観てください。

 自分が少年たちの年齢の時は気づかなかったことも、親業を経験した今になってみるとわかる部分が多々あった。

 

 なお、この映画を思い出したきっかけは、物語の舞台がタルサで、最近のバイデン米大統領のこんな発言を知ったことだった。

 

バイデン氏、100年前のタルサ虐殺を追悼 米大統領として初 - BBCニュース

 

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)

関連する書籍としてはこちらも。

 

*1:映画『パブリック 図書館の奇跡』(2018)の監督