親の目の不思議

いまも両親が住んでいる地方の街の商業施設に、からくり時計がある。11時から18時までの毎時きっかりに音楽が流れだし、人形が飛び出すしかけ。

うちの子はこの時計が好きで、小さいころはよく見に行った。

先日、実家訪問した折、ふたりで時計のそばを通ったら、ちょうど音楽が流れ始めたところで、息子が足を止め私もそれに付き合った。人形がとびだすところから隠れるところまで見上げて、しばらく思い出にひたっていた。

生まれた時から見ている人のことだと、折に触れ、小さかった時の姿が、その「幻」に手に触れられそうなぐらいはっきりとよみがえることがある。そこにないものが見える「親の目」なんてものがあるのだろうか。