宇野千代さんのことば

先日の講座にも来ておられたのだけれど、宇野千代さんの秘書を36年間つとめた藤江淳子さんが書かれていたこと。

(先生は)「自分を褒めてくれる人のそばに寄りなさい」と言われ続けていました。何でもケチをつけるような人からは、「すぐどきなさい」と。褒められると誰でも良い気持ちだから、もっと一所懸命になったり、工夫したりするでしょう。

宇野千代 女の一生』2006年 新潮社より

宇野千代 女の一生 (とんぼの本)

 

もう、ひざをばんばん叩きたくなってしまう(われながらオバ…)名言。

褒めてくれる人のそばによるのは難しいことではないけど、「すぐどく」のがけっこう難しいのだ。とくに自尊感情が低い場合。

自分自身も、人をのばせる人でありたいと自戒しつつ。

バラと本と

神奈川近代文学館で開催中の宇野千代展関連イベント、尾形明子さんの講演「しなやかな抵抗の人・宇野千代の文学」を聴いてきた。

宇野 千代 (女性作家評伝シリーズ 6)

おそらく上記の本に詳しく書いてあるのだろうと思うが、「生きていく私」などを通して自身が作り上げた宇野千代像と、初期の作品とのずれなど興味深いお話だった。

小説「おはん」や「色ざんげ」など、たくさんの作品を残した宇野千代だけれど、恋多き女、着物デザイナーや実業家としてのセルフイメージの演出にも成功したひとなのだなあと感じた。

 

展示については、原稿のほか、彼女が実際に使っていた信玄袋(かなり大きなものだった)、本人がデザインした米寿の祝いで身に着けた振袖と、100歳のお祝いのために用意していた振袖の実物が印象的だった。展示は7月17日まで。

みなとみらい線の駅のあるアメリカ山公園も、港の見える丘公園バラアジサイ、その他の花々でいっぱいで、頭も心もいやされた時間だった。

往復書簡 (講談社文芸文庫)

神奈川つながりで、宇野千代とも親交のあった中里恒子との往復書簡集。おすすめ。

川の向こう岸へ

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』のラストまぎわ、若き日のゲバラは、ハンセン病の患者たちと医師たちを隔てる橋のない川を泳いで渡る。ぜんそくもちの身体をおして。

橋のない川』は住井すゑの大河小説。明治時代の日本、関西地方のあるムラに生まれた男の子が、部落差別に反対する運動にかかわっていく様子を描いている。硬いテーマを扱った小説だけれども、そこは少女小説も書いてきた手練れの住井すゑさんのこと、読者の多くがメロドラマ的な要素につられて超大作を読み通してしまう。

 

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

 

 

橋のない川にへだてられつつも、互いを思いあうふたりはいつ結ばれるんだろう…と。

先日、おさい書店というブック・フェアを見てきた。『結婚差別の社会学』を上梓された齋藤直子さんがセレクトした「女性の語り・部落問題・ラテンアメリカ」に関する本が並ぶ。どれも私にはどストライクのテーマなのでいそいそと拝見しに渋谷へ行った。「女たちの語りに耳を傾ける」8点、「部落問題と社会学」19冊、「少女漫画とマイノリテイ」2作品「ほっとするもの4冊」「ラテンアメリカ、私に新しい視点を与えてくれるもの」8冊、どれも興味深いものばかりだった。

 

結婚差別の社会学

結婚差別の社会学

 

 (まだ書影が掲載されてなくて残念。愛らしい刺繍の使われた表紙)

齋藤さんの本を読んで驚くのは、21世紀の今も結婚差別が存在しているということ。でも、本書によれば大阪府の調査では若い世代ほど、部落外の相手との結婚が増加しているとある。本書でも、結婚をのぞむカップルを支える人たちのインタビューなどを読むことができ、光を感じる。

もし、『橋のない川』の続編があったら…

[http://]

 

 

七回転んだら八回起き上ればいい

週末、学会というものに参加しておりました。日常業務に忙殺されて、研究などというものからは程遠いところにいるので、情けなくて足を運べないものですが、たまたま近場で開催されていたので。

なつかしい友人や先輩諸氏、先生方にお会いして思ったのです。

この30年近く、何度も挫折をくりかえし、そのたびにうずくまって立ち止まり、そんな弱い自分を責めるループに陥ってきたけれど、何度転んでも最後には起き上がればいいのだ、ということ。起き上がれなくなるのは、たぶん息が止まるとき。というわけで2017年下半期のテーマは「不死身」に決めました(笑)

植え替え

春のベランダ仕事がひと段落しました。

今年も、収穫を楽しみにできる程度の野菜を植えることにして、あとは増えすぎたイチゴの苗を植え替えたり、実家におしつけたり(笑)

キッチンに生けていたミリオン・バンブーは勢いよく根が生えてきたので、こちらも鉢植えに。

そうそう、ご近所さんにいただいた茗荷も植えました。運が良ければ秋ごろから収穫できるそうです。

プランターに飛び込んできた雑草を水やりのついでに愛でるのも楽しいです。(まかぬたねも時にははえる)

そして、大事な盆栽。一昨年の冬に作ったモダン盆栽の、ヒノキが元気をなくしていたので、一回り大きな鉢に植え替えました。そうしたらなんと10日ほどであおあおと復活してきたではありませんか! 

やっぱり環境って大事。人間だって、元気がなくなるような場所からは、どんどん逃げましょう(笑) そのために足があるのだから。

 

 

それでも私は歌いつづけた

アルゼンチンを代表する女性歌手メルセデス・ソーサ(1935-2009)のCD「それでも私は歌いつづけたー検閲歌と未収録曲集」

Y Segui Cantando: Canciones Censuradas E Ineditas

Y Segui Cantando: Canciones Censuradas E Ineditas

 

1977-1980年のあいだにアルゼンチンで発売されたLPから検閲にあい削除されたものと、1969年から77年のあいだにシングル、EPなどの形で発表され、LPに収録されなかった曲の15曲を収録したCD。

軍政下(1976-83年)に禁止されていたアルゼンチンの作詞・作曲家による歌のほか、チリのビクトル・ハラ、ブラジルのミルトン・ナシメントとシコ・ブアルキ、キューバシルビオ・ロドリゲスの歌などが並ぶ。自分では作詞・作曲は行っていないひとだが、選んだ曲をみると彼女の歌うことへの姿勢は明確だ。

ソーサは1979年の2月に亡命し、1982年までアルゼンチン国内でコンサートを行うことはなかった。もともとアルゼンチンの農村でうまれたフォルクローレの歌手としてデビューしたひとだが、1982年以降はジャンルを問わない音楽家たちとの共演が目立って増えた印象がある。このCDにも国境やジャンルの垣根を飛び越えていく指向が反映されていると思う。

タイトルにある「それでも私は歌いつづけた」は、アルゼンチンの詩人マリア・エレナ・ウォルシュ作詞・作曲の「Como la cigarra(セミのように)」の一節。

もうすぐ開催。宇野千代展

いよいよ来週から

宇野千代展@神奈川近代文学館

www.kanabun.or.jp

とっても楽しみ。

昭和11年にファッション雑誌を創刊したという宇野千代さん。実際にお会いしたことのない私でも、お年を召してからの着物姿が印象に残っているけど、上記のサイト掲載のお若いころの写真は水の滴るようないい女でいらっしゃる。