新年は祈祷から

有吉佐和子(1931-1984)という作家がいて、もうだいぶ前に亡くなっているのだが、実家にその選集があり、ぱらぱらとめくっていた正月。

目当ては文庫にもなっている『ぷえるとりこ日記』(下記参照)だったが、同じ巻に収められている短編『祈祷』に刮目した。

ある三世代が同居する一家のお話。老夫婦が息子夫婦と孫、独り者の次男と暮らしている。ある年の暮れ、それまで元気いっぱいで育ってきた突然高熱を出して一家がおろおろする…というなんということもない短編だけれど、ヨメとシュウトメの確執、大家族の息苦しさ(と一分のぬくもり)など、さりげない日常の描写のなかに反核の意志が読み取れる、あなどれない作品だった。

『有吉佐和子選集』全13巻|研究余録 ~全集目次総覧~

世界が平和で、核兵器もどんな武器も使われない一年だったらいいのに、と祈ってしまう年明け。

気まぐれな更新の、なんということもないブログではありますが、たまに見に来ていただければ幸いです。どうぞ2019年もよろしくお願いいたします。

 

ぷえるとりこ日記 (岩波文庫)

2018年まとめ

めまぐるしい1年でありました。

6月のある日に身内が倒れてから、8月の南米三角錐旅行前まで。と、帰国から仕事納めまで。ほとんど体力ぎりぎりで走り続けた日々…

7月末にはアジア女性資料センターで、11月頭にもある研究会で、アルゼンチンの女性運動についてお話をさせていただき、自分のなかでうずもれかけていたテーマにもう一度取り組みたいという気持ちをかきたてられました。

あちこちで出会った方たちが、いまを元気ですごしていてくれることを祈ります。

緑のコプラ


Coplas Verdes - Mariana Carrizo

 

今年8月、アルゼンチンで中絶合法化が下院で議論されているときに公開された、マリアナカリーソの動画です。

少しだけ歌詞を紹介すると

Yo soy hija de la luna    私は月の娘
Nacida del rayo ´el sol  太陽の光から生まれた
Hecha con muchas estrellas あまたの星でできている
Mujer de mucho valor. 価値と勇気にみちた女

Una copla verde canto  私が歌うのは緑のコプラ
Pañuelo de libertad 自由のスカーフ
Toda la fuerza y la lucha すべての力と闘いを
Para el aborto Legal. 合法的な中絶へ

La mujer que tenga plata お金のある女は
Si aborta se salvará. 中絶で救われる
La pobre que nada tenga 何も持たない貧しい女は
Ningún dios la asistirá. 神も救ってはくれぬ

(繰りかえしのフレーズ)Pañuelo Verde/Pájaro libertario/De las Mujeres. 緑のスカーフは 女たちの自由な鳥

非合法であっても、経済的に恵まれた女性は安全な手術を受けられ、貧しい女性は命を落とすこともあることを歌っています。

緑はこの運動のシンボルカラー。カリーソが身に着けている緑のスカーフは、中絶合法化をめざす女性たちのシンボルとして、いまや同じスペイン語圏のメキシコやスペインにまで届いています。10月に来日されたアルゼンチンの人権運動にかかわる三人の女性たちも身に着けていました。現地でもリュックなどに結び付けている女性たちを見ました。見えるところにはつけていなくても、いつもカバンのなかに入れていると言う友人もいました。

下院では、この法案は否決されてしまったけれど、まだ彼女たち(男性も多くが支持している)の闘いはつづいています。人工妊娠中絶は、すべての女性が経験するわけではないでしょう。でも、状況(家庭環境や暴力、知識の不足など)しだいではあらゆる女性にふりかかりうること。それを他人事としてとらえず、自分のものとして彼女たちは闘っています。

 

 

はじめてのMRI

一か月ほど前の深夜、突然の激しいめまいに襲われ救急窓口にかけこんだことがあり、持病で30年近いつきあいの主治医に内科のお医者さんを紹介してもらった。

貴重な平日休みに受診したら、耳鼻科も受診するようにいわれ(メディカルモールなので同じ建物内)、はじめてのMRIで脳の写真もとることになった。

MRIは初めて受けたのだが、耳障りな音と大きな音のどちらも大嫌いな自分には、拷問されているような経験だった。そのあと聴力検査も受け、病院をでるころには外は真っ暗。

結論からいうと、脳には異常がなく、自分でもうすうす感じていた耳の問題だった。とはいえ、薬が必要なレベルにはまだいたってないとのこと。めまいなんて、この年頃ならよくあることだと簡単にとらえていたけど、今回何人かの専門家の話をきいて、いろんな原因がありえることがわかった。自己診断は危険だということも。

ひとつしかないこの身体、あと何年使うのかわからないけど、大事にするしかないとあらためて思ったのだった。

 

4周年

 

昨日、はてなの運営からメールが届いて、このブログが開設から4周年と知らされた。といっても何かシステムが変わっただけで、その前からはてなダイアリーを使用していたから、そんなに感慨はないけれど…

とはいうものの、パソコンで遊びだしてからおそらくもう20年近い時間が経っており、そのあいだとぎれとぎれではあるが、何らかの形で日記のようなものを書きつづけてきた。書ける、ということは、その程度には平穏な毎日を送れているということだから、幸せなことなのだろう。

そして、いつも読んで感想やスターをくださる方もいて、そのこともとてもありがたく思います。ありがとうございます。これからもお気が向いたらお立ち寄りください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思いがけない贈り物

このあいだ偶然見つけた都会の中の小さな庭園に、昼休みに散歩にでかけました。そこには小川も流れていて、いまの季節にはとんぼがすいすい飛んでいます。

芝生の上の径を歩いていたら、小鳥が目の前を横切り、真っ青な色が目に飛び込んできました。見たこともないような鮮やかな輝きに、外国産のオウムかしら?とも思ったのですが、それにしては身体が小さい。

気になって、小川のほとりの大きな石に腰掛け、しばらく観察してみることにしました。あめんぼが小川の水面をあるく?のを見ながら待っていると、少し離れたところの木の枝に小鳥が止まるのが見えました。とがったくちばしに、どきどきしながらよく目をこらすと、その瞬間小鳥がエサ(おそらくトンボ?)を目がけて飛び立つのが見えました。翡翠カワセミ)です! エサにはありつけなかったらしく、どこかへ飛んで行ってしまいましたが、くっきりとした青い輝きを目に焼きつけるのにはじゅうぶんでした。

野鳥公園でもゆっくり見られたことはないのに、肉眼で確認できる距離で鑑賞できるなんて… 夢のような、突然の天からの贈り物のようなできごとでした。

オフィシャル・ストーリー


La historia oficial - Trailer

 

1985年のアルゼンチン映画で、アカデミー賞の外国語映画優秀賞に選ばれています。1983年までつづいたアルゼンチンの軍政下で、そのために人生を狂わされたひとたちの真実を求める勇気ある行動を描いた映画です。(日本語字幕つきのビデオは以前販売されていたのですが… DVDの販売望む!)

1976年から始まった軍政時代には、多くの若い人たちが誘拐され(なかには超法規的に殺害された人も)、その子どもが勝手に養子に出されたり、強制収容所ではさまざまな拷問、虐待が行われていたことが知られています。

もう目前に迫りましたが、13日に上智大学で、軍政時代の拉致と暴虐の横行について、真相究明と正義をもとめて闘ってきた女性たちのお話をきくことができるシンポジウムが開催されます。(要参加申し込み)なかなか聞くことのできないお話をうかがうチャンスかと思います。お時間ありましたら、ぜひ。

おまけ

映画のなかで効果的に使われているマリア・エレナ・ウォルシュの「ふしぎのくにで」にのせた「五月広場の祖母たちの会」の活動をイメージしたアニメーション


en el pais de no me acuerdo