南米の女性大統領たち

 あまり知られていないことだが、アルゼンチンは世界初の女性大統領イサベル・ペロン*1を生んだ国だ。政治家としての経験はほとんどなく(夫の使者として動いた経験がほとんど)、夫の逝去に伴い副大統領から移行した。

 それから約30年後、2007年から2015年の大統領をつとめたクリスティーナ・フェルナンデスは、前大統領ネストル・キルシュネルの妻ではあったが*2、イサベルの場合とはちがって上院議員(2001-2005サンタクルス州、2005-2007ブエノスアイレス州)の経験もあり、選挙で当選し、再選もされた。2019年からは現政権の副大統領。

 南米というくくりだと*3、2006年にチリでミシェル・バチェレが当選しており、こちらが選挙によってえらばれた「南米初」の女性大統領だと言ってよい。バチェレは防衛大臣をつとめた経験もあり、その後も2014年に返り咲き、18年まで大統領職を全うした。

 ブラジルでも2011年にジルマ・ルセフが同国初の女性大統領に選ばれている(2016年わいろの疑いなどで罷免)。エコノミストで政府関係の要職も勤めた人だ。ボリビアでも、2019年から2020年まで大統領代行だった元上院副議長のヘアニネ・アニェスがいる(現在は、反政府デモ隊に対するジェノサイドの罪で告発され拘留中)。ちなみにボリビアは、女性議員の比率が51.8%で世界第3位(2020年)だそう。(今回初めて知ったが、1979-1980年にもリディア・ゲイレル・テハダが暫定大統領を務めている。)

 およそ世界の半分が女性のわりには、政治のトップの座に女性が就くのはまだニュースになるようなこと。南米でも女性が大統領になったからといって、特段、開発至上の政策が抑制されたり、国民の生活が向上したりということもなく、「普通に」政治家をしているという印象。けれど、人びとの意識には影響があったのではないかと思う。『オーシャンズ8』ではないが、世界のどこかにいる8歳の少女のロールモデルとして…(笑)←なぜ(笑)がつくのかは、映画をご覧ください。

 さて日本はどうなる? 男女どちらでもいいので、この国にいる人たちの暮らしをよくできる人を… お願いしたい。

 

オーシャンズ 8(字幕版)

 

23日公開のこれはどうかな?

映画『総理の夫』公式サイト (first-gentleman.jp)

*1:ミュージカルで有名なエビータが亡くなったあと、フアン・ドミンゴ・ペロンが再婚した相手

*2:キルシュネルは2010年に逝去

*3:中米ではニカラグアのビオレタ・チャモロ(1990-1997)がいる