5年の時を経て

  ラテンアメリカ協力ネットワークrecomの機関誌「そんりさ」に書かせてもらった時点で3年、今年の3月でホンジュラスの環境活動家ベルタ・カセレスさんの暗殺から丸5年がたちました。実行犯はすでに有罪となっていましたが、暗殺を計画、指示した人物の処罰は進んでいませんでした。ところが、今月5日にDESAの元幹部David Castilloが共犯者として有罪判決を受けました。殺人と不処罰の多いことで知られている同国では画期的な出来事です。

 DESAは「クリーンな」水力発電用ダム建設を進めていた会社で、レンカ民族の聖地であるグアルカルケ川でのダム建設に反対する運動の先頭に立っていたのが、ベルタ・カセレスさんでした。今回、カスティージョの有罪の決め手となったのは、実行犯たちと携帯などで連絡をとっていた記録とのことです。カスティージョは元軍人で、米国系の軍事学校で訓練をうけ、情報部の仕事をした経験もある人物です。カセレスさんに友人のふりをして近づき、動向をさぐっていたという報道もありました。

  カセレスさんは、ゴールドマン環境賞受賞スピーチのなかで、彼女たちの民族ーレンカ人は代々、川の守り手であり、川を守るために命を捧げることは、人類とこの惑星の幸せのためになることだと女の子の精霊たちに教わってきたと語っています。そして資本主義や人種主義、家父長制が自らを破滅に導いており、それを押しとどめるためには、人類はいますぐ目覚めなくてはならない、と呼びかけました。彼女の死は痛ましいことでしたが、5年の時を経て、ホンジュラスでこのような判決がでたことは、精霊の教えの正しさを示しているのかもしれないと思いました。 

 

 ベルタ・カセレスさんが仲間たちとともに設立したホンジュラス先住民民衆組織委員会(略称COPINH)。いまは娘さんが遺志をついでメンバーとなっている。 

copinh.org

  ベルタさんのスピーチの映像(2015年)


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Who Killed Berta Cáceres?: Dams, Death Squads, and an Indigenous Defender’s Battle for the Planet (English Edition)

ガーディアン紙のシニア・レポーター、ニナ・ラカニの著書。