オンライン寺子屋アミーゴ

 横須賀線逗子駅からあるいて数分の住宅街の中にある映画館シネマ・アミーゴ。5~6年前にそこでダムの映画をみた。

 

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 そのころ、映画館館長の長島源さんが、いつか学校のようなものをここでしてみたいとおっしゃっていたのだが、昨年からは、ホステル&コワーキングスペース&キッチンの文化複合施設AMIGO HOUSEもオープン。その場所で、1月23日に開催された”映画から始まる学びの場”「理想のくらしはあなたが作る2」に参加した。映画を観てお話を聞くというスタイルだが、コロナ禍ということもあってオンラインでの開催。どんなかたが来られているのかはわからなかったが、アイスブレークでお話しさせてもらったのは、神奈川県内と東北地方の方だった。

 


『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』予告編

 

 映画は、米国カリフォルニアで、ロサンゼルスから車で1時間のところで農薬を使わない伝統農法の農園を築く夫婦の物語。野生動物の撮影をするカメラマンと料理研究家の妻というカップルが、サンタモニカの街中での暮らしのなかで、一頭の犬を飼うことで運命が変わる。

 ふたりは、固く乾いた見捨てられた果樹園を、伝統農法の専門家の力を借りて、10年足らずのうちに肥沃な緑あふれる農園にしてしまう。その過程にはさまざまな苦労があるが、何よりも映像の美しさに目をみはった。

 野生動物のカメラマンとしての技術を身に着けた夫のジョンさんがこの映画の監督でもあるのだが、さまざまな家畜、鳥やコヨーテなどの野生動物、木々や花、昆虫などがカリフォルニアの陽光を受けて文字通り輝いている。息を吹き返した土地の上で、多様な生き物が織りなす美を堪能した。

 映画の後は、横須賀で無農薬・無化学肥料の農園sho-farmを営む仲野翔、晶子ご夫妻のお話。元・高校の理科の先生で、インドでヴァンダナ・シバにも学んだという晶子さんが、17世紀のヨーロッパの科学革命への反発として生まれてきた有機農業/エコロジーの思想と実践の系譜を話してくださった。たくさんの参考文献や科学者、思想家の著作、またヒマラヤの森で木を守ろうと闘ったチプコ運動の女性たちや、ガンジーの行動など具体的な抵抗の運動も合わせてご紹介くださり、とても充実した内容だった。

 たくさんの文献や著者を紹介しながらも、晶子さんがくりかえし強調されたことは、「多様性(東洋と西洋の相対化、農法のちがい)の尊重」と「自分の頭で考えること」「信念と覚悟をもってことにあたれ」ということ。また、ヴァンダナ・シヴァやレイチェル・カーソンのように、エコロジーの運動のなかで女性が大きな役割を果たすのはなぜだろう、という疑問も印象に残った。巨大農薬企業に立ち向かったアルゼンチン、コルドバの母たちや、ダムの建設に反対して命を落としたホンジュラスのベルタ・カセレスさんのように、ラテンアメリカでも多くの女性たちが命がけで闘っているので…

 はじめに多様な生き物が調和して生きている農園の美しい姿を映画でみて心がやわらいでいるので、若干ハードなお話もすっと心にしみこんでくる。いまのところ、庭先養鶏も半農半X生活も実現に程遠いが、自分の生き方ついて考えを整理するよい機会になった。どこにいても、その話を切実に必要としている人が参加できるという意味で、このような学びの場のオンライン開催には大きな可能性を感じた。

 

◆参考文献のなかから数冊 

複合汚染 (新潮文庫)

複合汚染 (新潮文庫)

 

 

 

ウォールデン 森の生活 (上) (小学館文庫)
 

 

 

 

 

 

 次回の学びの場は下記。映画『21世紀の資本』と渋沢栄一の著書を手掛かりに、お金/資本について考えるものだそうです。面白そうですね。

【映画鑑賞+オンライン講座】風の時代の「論語と算盤」【映画から始まる人生の学校】 | Peatix

 

21世紀の資本

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  • 発売日: 2020/08/08
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