おみなえし

 ひと月ほど前のことですが、黄色い花の咲くおみなえしを見かけました。秋の七草のひとつですが、街ではあまり見かけない花です。見つけたのは、二子玉川Riseという複合施設のビルの敷地内でした。ファッション誌から抜け出してきたようなカップルや家族連れが行き交う今の二子玉川で野の花を見つけるなんてちょっと不思議ですよね。でも、ここは意外になつかしい植物が見られる場所なのです。

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 二子玉川はその名の通り、多摩川ぞいにある街です。東急田園都市線のホームが川に張り出していて、都心方面行だと後部車両の窓からは川がよく見えます。台風のあとなどは水量が増してこわいほど。冬の朝は富士山も眺めることができます。

 この駅から歩いてすぐの多摩川は、私にとっては「ふるさとの川」のような存在です。小学生の時に住んだ東京で、母や友達と一緒に歩いたり遊んだりした記憶と切り離せない川なのです。多摩川は、羽田の河口から奥多摩まで、どこをとっても美しい川です。二子から調布のあたりは、景色は単調なのですが、子どものころの私にとってはもっとも親しみやすく楽しいところでした。そのころの二子玉川は高島屋以外は何もないところのように記憶していますが、いまはすっかり都会になってしまいました。それなのになぜか足が向いてしまう理由が自分でもよくわかっていなかったのですが、最近あることを知って腑に落ちました。 

 じつはショッピングセンターを含めたRiseの施設自体が、多摩川の流れる武蔵野台地など周囲の自然や地勢を意識して作られたものなのだそうです。敷地の植物も日本に昔からあった植物を意識して植え込んで「エコ・ミュージアム」のコンセプトのもとに作られているのだそうです。箱根植木株式会社のページ

 いまごろは萩の花がたわわに咲いていると思います。つわぶきの金色の花も見られるかも。お買い物(だけ)ではなく、そんなところも楽しみに出かけてみるのはどうでしょう。