マテラな日々

 matero,materaとはマテ茶好きな人というスペイン語(語尾が-oだと男性、-aは女性)。マテ茶は、アルゼンチン北東部、パラグアイ、ブラジルなどで栽培されるマテ茶の木の葉や茎を乾燥させたもの。ブラジルではローストした茶色の葉を用い、アルゼンチンではローストしない緑色の葉を使う。ビタミンが豊富で、その昔アルゼンチンの草原で暮らすガウチョ(カウボーイ)はほとんど野菜をとらず、牛肉とこれだけですごしていたという話もあるぐらいだ。

 四月の初めに、ブエノスアイレス発の飛行機に乗る数時間前、友人とともに地元のスーパーで買った1キロ入りのマテ茶葉は早々になくなり、その後日本国内でアルゼンチン産の茶葉を販売しているサイトを発見し、そちらで買った分もそろそろ底をつこうというところ。

 都内のペルー、ブラジル食材の店のものや、高級輸入食材のスーパーで売られているものも何度も試してみたのだけれど、やはりアルゼンチン産の茶葉とは味が違うように思う。ティーバッグタイプも、ペットボトル入りも試してはみたが、何かがちがう。現地で買ってきた木のカップはメンテナンスが難しくー現地で見たセラミックのものを買ってくるのだった!−以前からうちにあった小ぶりの陶器の湯飲みに落ち着いた。マテ茶カップのようにくびれのある容器に、茶葉を6割ほどいれてボンビージャ(金属製の茶こしつきストロー)を差し込み、やかんから湯をさしながら飲む。

 茶葉の上から熱い湯をそっと注ぐと、かすかに泡が立って、乾いた草のような香りがふわっと立ちのぼる瞬間がたまらない。熱いのをボンビージャでそっとすすると、ほのかに甘いようなまろやかな味が口の中に広がる。アルゼンチンでは、仲間が集まるとこのマテ(カップ+茶葉+ボンビージャ)を回しながら延々と話しつづける。そんな時間を思い出しながら飲んでいると、身も心も温まって力がわいてくる。じっさいカフェインも豊富なので覚醒効果は相当なもの。コーヒーを入れる朝の儀式が、すっかりマテ茶にとってかわってしまった。