面白かった本、ほしい本

気がついたら一月も終わりかけていて、「ハラスメントは連鎖する」asin:4334033997の感想をちっとも書いてないことに気づいた。そんなことは誰も気には留めないと思うのだけれど、自分が気になるので備忘録として簡単に。

この本の一番ユニークな点は、人の心を傷つける目に見えない暴力が、日常生活の中に存在し、それがとくに「教育」「しつけ」の場である「家庭」や「学校」で顕著に見られるということをはっきりさせたところ。

自分はとても恵まれた立場にいるはず、なのにいつも「鉛色の空の下に暮らして」いるような思いにさいなまれている人がもしいたら、この本を読んでみるといいかもしれない。こういう本を書くと、著者自身の心のなかまで暴き出されてしまう(というかこの著者の方がたは向き合われたようである)から、たいへんな作業だったろうと思う。「軍国の母」思想が、その後の世代にもたらした「苦しみ」についても深く考えてみたいと思った。

ついでに言っておくと、その「目に見えない暴力」の呪縛からどうすれば逃れられるかのヒントも本書には書いてあるし、すべての人がそこから自由になれば、世界のいろんな問題も解決に向かっていくだろうという「希望」にも満ちていて、そんなところが私は好きだ。

欲しい本というのは、こちら。日本の川 たまがわ
著者の村松昭さんは(さん、なんてつけているけど面識はない)もうずいぶん昔から多摩川の絵図を出版されている。これがまた、屏風だたみにできるながーーーい絵本で、とても充実しているのだ。