ほんよみ

本と映画

前にも、映画と読書のつながりについて書いたのですが、すでにある小説を映像化した作品は、本へ私たちを導いてくれるものでもあります。『ゲド戦記』の作者が、映画はまったく別の作品だと考えている、と語ったそう(私も同感)ですが、まったく別の何かで…

読んでから観るか、観てから読むか

まったく外へ出られないわけではないが、とくに行くところもない子どもの、数年間の引きこもりの時代には、歩いて10数分のレンタルショップに親子でDVDを借りに行くのが習慣と化していた。だいたい2対1の比率で、子どもの観たいものと、私の観たいものを借…

ハナカイドウの下で

鎌倉・円覚寺へ行きました。目的はお墓詣り。 作家の中里恒子(1909-1987)さんのお墓です。ピンク色の花が一輪挿しでお供えされており、彼女のお人柄をしのばされました。 生きた人間のわがままさで、花盛りのハナカイドウの木の下、心の中で中里さんとお話…

新年は祈祷から

有吉佐和子(1931-1984)という作家がいて、もうだいぶ前に亡くなっているのだが、実家にその選集があり、ぱらぱらとめくっていた正月。 目当ては文庫にもなっている『ぷえるとりこ日記』(下記参照)だったが、同じ巻に収められている短編『祈祷』に刮目し…

トウモロコシの詩

雨雲が幼いトウモロコシの世話をする ずうっと向う 東の方で まるで母親が赤ん坊の世話をするみたいに 雨雲が 幼いトウモロコシの世話をしている だいじに だいじに だいじに だいじに 世話を し て い る 北米のネイティブ・アメリカンのアコマという民族の…

トウモロコシをめぐる闘い

壊国の契約―NAFTA下メキシコの苦悩と抵抗作者: エリザベスフィッティング,Elizabeth Fitting,里見実出版社/メーカー: 農山漁村文化協会発売日: 2012/08メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 今年の8月に出た翻訳書。メキシコの…

積読・乱読

GWに読む(読んでいる)予定の本。 『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』阿部彩 講談社現代新書 2011 『ママンへの手紙 コロンビアのジャングルに囚われて』イングリッド・ベタンクール、メラニー・デロア=ベタンクール、ロレンソ・デロア=…

「もうひとつの世界」

「もうひとつの世界」についてのもう一冊の本。「もうひとつの世界」への最前線―グローバリゼーションに対して立ちあがる市民たち作者: クリストフアギトン,Christophe Aguiton,増田一夫,稲葉奈々子出版社/メーカー: 現代企画室発売日: 2009/05メディア: 単…

日本から・日本への移民を考える…

非相続者の精神史―或る日系ブラジル人の遍歴 (1981年) (叢書ライフ・ヒストリー〈2〉) ひかげの日系人―ガイジン記者が見た南米の出稼ぎ労働者 他にもたくさんあるとは思いますが、とりあえず。日本の「かたち」や「品格」を云々するならば、こうした視点も必…

まんがで知る外国につながる子どもたち

『まんがクラスメイトは外国人 多文化共生20の物語』「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会編 (まんが)みなみななみ 明石書店刊 1260円まだ表紙写真はアップされてないようですが、日本の学校に通う外国につながる子どもたちの直面している問題が…

貧困か…

私が初めて「貧困」を身近に感じたのは【楽天ブックスならいつでも送料無料】この国は恐ろしい国 [ 関千枝子 ]という本。女性の賃金のほうが男性より低い日本社会で、女性がひとりで子どもを育てる家庭の貧困、生活保護制度の問題などが描かれていた(うろお…

しんうちとうじょう

いよっ、待ってました。『闘争のアサンブレア』ついに刊行! 『まんが 反資本主義入門』より先に出る予定になっていたのに(笑) でも、遅れたおかげでテーマがより身近になったかも。この本は2001年以降のアルゼンチンの社会運動に焦点を当てているのだけど、…

守りぬく。

『泣いた赤おに』という童話、また『りゅうの目のなみだ』を読んだことがあるだろうか? 『赤おに』はたしか学校の教科書にものっているとおもうが、人間となかよくなりたかった赤おにと、そのともだちの青おにの、『りゅう』はりゅうをおそれない人間の子ど…

歌わせたい男たち

少し時間があったので池袋のジュンク堂を流して歩いた。まともに歩きだしたら、一日たってしまいそうだったから。まだ入ったことないけど、ジュンク堂の喫茶室ってどうなんだろう? かつて池袋にあったH書店の喫茶室といい、Yブック・センターの喫茶室とい…

こんないいものごひゃくえん。

26日に記したソル・フアナ(ソルは修道女への「シスター」にあたるスペイン語の尊称)の手紙が収められた文庫を入手。全体を読んでみると、下に引用されているのとは少しちがう印象だけれど、それにしても、充実した解説にわかりやすい訳。これがたったの「…

ききみみずきん

戯曲「夕鶴」で有名な木下順二氏の創作による絵本。ききみみずきん (岩波の子どもの本 (18))作者: 木下順二,初山滋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1956/12/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (13件) を見る初山滋の魅力的な…

面白かった本、ほしい本

気がついたら一月も終わりかけていて、「ハラスメントは連鎖する」asin:4334033997の感想をちっとも書いてないことに気づいた。そんなことは誰も気には留めないと思うのだけれど、自分が気になるので備忘録として簡単に。この本の一番ユニークな点は、人の心…

『アース』

子ども料金500円につられて、今日封切りの映画『アース』http://event.movies.yahoo.co.jp/theater/earth/を観てきた。BBCによる北極から南極にいたる地球の自然とそこに生きる動物たちの美しい映像を通じて、環境保護(地球温暖化の防止)を訴えるというも…