クリスマスのプレゼント

子どもの成長とともに、我が家にサンタクロースが来なくなってから、かれこれ6,7年は経つだろうか?

とっくにサンタクロースを信じなくなった自分にも、今年は「美術館での午後」を贈ってみた。街全体が美術館のプロムナードとなっているぜいたくな世田谷(区立)美術館。田園都市線の用賀駅からゆっくりあるいても30分もかからないが、砧公園という大きな公園の一角にあるので、天気がよければ最高の散歩となる。

今回は奈良原一高という写真家が、1963-65年にスペインを訪れて撮った写真の展覧会「奈良原一高のスペインー約束の旅」

じつはスペインはまだ行ったことがないのだけれど、仕事柄人並み以上には関心があったので、興味深く見た。ポスターに使われているのは、祭りに向かう若い男女4人のにぎやかで楽しそうな、いかにもスペイン!な写真だけど、実際に展示されているものはもっと違う印象。貧しさも、荒々しさも、静けさも、残酷ななにかも漂っているリアルな当時のスペインの暮らしをほうふつとさせる写真たち。最後に撮影可能なスペースがあったので、そちらから少しご紹介。

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まんなかの段の顔をくしゃっとさせる女性のしわの深さが印象的。

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こちらは主にパンプローナの祭りの写真。男ばかりで盛り上がっている。

写っていないもろもろのことを想像して、鳥肌。ほかには「粋」な闘牛士たちの写真も。

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牛の絵の上にあるのは、フランコの顔の書かれた壁の前にたつ子ども二人の写真。当時のスペインはまだ独裁政権下にあった。会期はあと一か月ほどなので、ぜひ自分の目で確かめてほしい。出口近くにあった1970年ごろの婦人公論の表紙集も楽しかった。

 

ちなみにここはミュージアムコレクションの展示も二階にあり、今回はすばらしい工芸作品(柚木沙弥郎ほか)が観られた。この美術館にはときどき足を運ぶが、味わいの違うものを一時に見られ、広すぎて疲れることもないのがうれしい。(疲れたらカフェの一服もできる)会場の係員の方もとても親切。今回はおまけとして三年間農園に通って描いたという下仁田ネギの絵(ボタニカル・アート)の特別展示も見られ、満足感がいつも以上だった。それぞれ会期が違うので、確認のうえどうぞ。

www.setagayaartmuseum.or.jp