ラステシスの歌詞を訳してみた(2020年2月19日訳文を改訂)

10月18日から60日近く、大統領の辞任、少なすぎる年金の改革、軍政時代に作られた憲法の改正などをもとめる「尊厳運動」がつづくチリで、今年の女性への暴力根絶国際デー(11/25)に初めて路上で演じられたLastesisのパフォーマンス"Un violador en tu camino"(があなたのいる道の上にレイプ犯がいる)はあっという間に世界中に広がった。

 

内容はこんな感じ(くり返しのフレーズはいくつか省略。)

 

家父長制は裁判官
生まれながらに私たちを裁く
私たちへの罰は あなたには見えていない暴力
家父長制は裁判官
生まれながらに私たちを裁く
私たちへの罰はもうあなたにも見えている暴力

それは女性殺人
私を殺した犯人の免罪
失踪
レイプ
そして私にはなんの罪もなかった
どこにいたかも なに着ていたかも(×4)
レイプしたのはお前だ 
レイプ犯はお前だ
警察 裁判官 国家 大統領
圧政国家はレイプする暴力男(マッチョ)
(×2)
レイプしたのはお前だ
レイプ犯はお前だ

おやすみ、清らかな少女
悪者のことは心配しないで
あまくきよらかな眠りを
お前を愛するおまわりさんが守ってあげる*
 レイプ犯はお前だ!

 

 

 

https://www.milenio.com/internacional/el-violador-eres-tu-letra-de-la-cancion-de-chilenas-contra-violencia

 

歌詞は上記の記事を参考にしたが、このグループについての説明も要約して載せておくと、ラステシスは一年半前に、チリのバルパライソで4人の31歳の女性たちによって結成されたグループ。Las tesisとは論文という意味のスペイン語だが、フェミニズム理論を腹に落ちる形で広げたいという目的で始めた。主にInstagramで活動。今回の歌詞は、女性への暴力を分析する文章でよく知られているアルゼンチン生まれのフェミニスト、人類学者のリタ・セガート(Rita Segato)の文章を参照しているとのこと。

 

ちなみに、上記の最後の4行はチリの警察カラビネーロスのテーマソングからとったので、不自然な感じになっているが、本気で警察が守ってくれると言っているわけではなく、皮肉。というのも警察に連行された女性たちが性暴力にあっていることはよく知られているので。歌いながらのパフォーマンスでスクワットのポーズが出てくるが、これは警察署につくと全裸でこのポーズをとらされるからだそうだ。

 

 

 

 

La guerra contra las mujeres

La guerra contra las mujeres

  • 作者:Rita Laura Segato
  • 出版社/メーカー: Traficantes de Sueños
  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: ペーパーバック