有吉佐和子(1931-1984)という作家がいて、もうだいぶ前に亡くなっているのだが、実家にその選集があり、ぱらぱらとめくっていた正月。
目当ては文庫にもなっている『ぷえるとりこ日記』(下記参照)だったが、同じ巻に収められている短編『祈祷』に刮目した。
ある三世代が同居する一家のお話。老夫婦が息子夫婦と孫、独り者の次男と暮らしている。ある年の暮れ、それまで元気いっぱいで育ってきた突然高熱を出して一家がおろおろする…というなんということもない短編だけれど、ヨメとシュウトメの確執、大家族の息苦しさ(と一分のぬくもり)など、さりげない日常の描写のなかに反核の意志が読み取れる、あなどれない作品だった。
世界が平和で、核兵器もどんな武器も使われない一年だったらいいのに、と祈ってしまう年明け。
気まぐれな更新の、なんということもないブログではありますが、たまに見に来ていただければ幸いです。どうぞ2019年もよろしくお願いいたします。