ゲバラの撮った世界

 

che-guevara.jp

この夏、恵比寿でゲバラの撮った写真の展覧会が開催されるそうだ。ゲバラとはチェ・ゲバラー本名はエルネスト・ゲバラフィデル・カストロと共にキューバ革命に参加したアルゼンチン人。ボリビアでゲリラ戦中にとらえられて殺害された男。という程度のことは、ゲバラの名前を知る人なら、知らない人はなかろう。

 

私は中二の夏に三好徹さんのゲバラ伝を読んで、ファンになった。その後、彼の故郷であるアルゼンチンを訪ねるようになったのもそれが原因のひとつだけれど、実は子どもを持ってからは、手放しでゲバラを賛美できなくなった。革命というのは、安易に賛美していいものではないーたくさんの血を流すものである場合はとくにーと考えるようになったからだ。

チェ・ゲバラ伝 増補版

 

とはいえ、当時のラテンアメリカと世界(いわゆる第三世界の)の人々にとっては、世界の見方を180度変えるほどのインパクトをもった出来事だったと思うし、多くの人たちに勇気を与えたことを思うと、暴力という直接的な手段に訴えたことを否定すべきとも単純に言い切れない気持ちもある。

 

彼の「不正への感受性」と「愛」こそが革命家にとって大事な資質だとする考え方や、自分の利益を求めるのではなく、自ら率先して行動するという生き方は、いまでも清新に感じるし、見習える部分だと思うのだ。

 

日本に来たときは、米国によって核爆弾が投下された広島を、当初の予定に入っていなかったにもかかわらず、勝手に訪れたというゲバラ。そんなゲバラがカメラのレンズを通して切り取った世界がどんなものか、とても興味深い展示だ。