川の向こう岸へ

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』のラストまぎわ、若き日のゲバラは、ハンセン病の患者たちと医師たちを隔てる橋のない川を泳いで渡る。ぜんそくもちの身体をおして。

橋のない川』は住井すゑの大河小説。明治時代の日本、関西地方のあるムラに生まれた男の子が、部落差別に反対する運動にかかわっていく様子を描いている。硬いテーマを扱った小説だけれども、そこは少女小説も書いてきた手練れの住井すゑさんのこと、読者の多くがメロドラマ的な要素につられて超大作を読み通してしまう。

 

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

 

 

橋のない川にへだてられつつも、互いを思いあうふたりはいつ結ばれるんだろう…と。

先日、おさい書店というブック・フェアを見てきた。『結婚差別の社会学』を上梓された齋藤直子さんがセレクトした「女性の語り・部落問題・ラテンアメリカ」に関する本が並ぶ。どれも私にはどストライクのテーマなのでいそいそと拝見しに渋谷へ行った。「女たちの語りに耳を傾ける」8点、「部落問題と社会学」19冊、「少女漫画とマイノリテイ」2作品「ほっとするもの4冊」「ラテンアメリカ、私に新しい視点を与えてくれるもの」8冊、どれも興味深いものばかりだった。

 

結婚差別の社会学

結婚差別の社会学

 

 (まだ書影が掲載されてなくて残念。愛らしい刺繍の使われた表紙)

齋藤さんの本を読んで驚くのは、21世紀の今も結婚差別が存在しているということ。でも、本書によれば大阪府の調査では若い世代ほど、部落外の相手との結婚が増加しているとある。本書でも、結婚をのぞむカップルを支える人たちのインタビューなどを読むことができ、光を感じる。

もし、『橋のない川』の続編があったら…

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