森里川海をつなぐために

5月22日は、国際生物多様性の日と決められているそうなのですが、これを記念して30日に「国際生物多様性の日シンポジウム つなげよう森里川海」という環境省国連大学などによる催しがあったので行ってみました。

 

森里川海を豊かに保ち、恵みを引き出すため、「国と地方」、「都市と地方」、「行政、NPO、企業、市民」の役割について考え、それぞれの取り組みをつなぎ、広げていくための新たな仕組みを考える というのが目的だそうです。

 

「環境・生命文明社会の創造~自然と共に生きる~」という基調講演では、里山イニシアティブという日本の環境省国連大学サステイナビリティ高等研究所が提唱した取り組みの生まれた背景、その実践である「つなげよう森里川海プロジェクト中間とりまとめ(案)のご紹介」、地域の取り組み事例の紹介、パネルディスカッションなど、多岐にわたるお話がきけたのですが、個人的に最も感銘をうけたのは、多摩川源流(小菅村)で活動をしていらっしゃる中村文明さんのお話と、海洋冒険家・NPO法人海遍路 副理事長の八幡暁さんの、子どもたちへの啓発活動の実践にまつわるお話でした。

 

私などは、自然とふれあいながら育ってきた両親からてほどきをうけ、そこに清流があればかならず裸足になって遊ぶというような幼年時代をすごし、自分の子どもにもそうした遊びをあたりまえのように伝えてきました。日帰りできる範囲の野山や公園に子どもを連れて行くことなどはふつうのことだと思っていました。そのようにして育った子が、南の島で「東京の子とは思えない。ケンムンのような子だ」と言われたことを、今でも覚えています。

 

ところが、いまの日本の子どもは(都会育ちかそうでないかは問わず)そういう経験がとても少なくなっているそうです。自然のなかですごした「理屈ぬきの」楽しい時間が土台としてあって、はじめて「生物多様性」というものへの関心が生まれてくる=森山里川をつなげる人が育つというのが、多摩川源流や目黒川などで活動を展開されるお二人の話に共通していたことだったと思います。

 

私自身、遠い国のことであっても環境問題が気になるのは、子どものころから川を歩いてきた経験が基盤としてあるのだろうなと思ったり、自分の子どもにも、それなりに大事なことを伝えてこれたのかな、とひそかな手ごたえを感じた午後でした。