旅の記録(サンタフェで釣り)

 下書きフォルダに入っていた旅の記録をもう少し続けます。

3月31日 この日は車でカジャスタへ移動。カジャスタは16世紀にサンタフェ州サンタフェとは聖なる信仰という意味のスペイン語)の州都が最初に建設された場所。パラナ川の支流に挟まれた町。友人の自宅から親戚の週末の家まで車で移動するのだが、その間見渡すかぎり「大豆」「トウモロコシ」「牧草地+牛」という風景。それらの大豆やトウモロコシは遺伝子組み換えが大半。アルゼンチンではこの10年近く爆発的に遺伝子組み換え大豆植え付け面積が増えていて、中北部のコルドバでは農薬による健康被害も問題になっている。遺伝子組み換え作物とセットになって販売される農薬(除草剤)が問題なのだ。同時に先住民族の生活を支えてきた土地が遺伝子組み換え大豆栽培のために売られ、彼らの栄養状態が悪くなっているという話もきいた。しかも、ここで作られる大豆は主に中国方面に輸出され、国内では消費されない。自分たちが食べるためでもない作物のために生活がおびやかされているわけだ。

 カジャスタに到着。暑い… 週末用の小さな家々が並ぶ休暇村の、通りのあちこちで半裸の人びとが大きな声でしゃべりながらくつろいでいる。こちらの人は体も大きいが、話し声も大きくてどなっているようだ(笑) 友人の義両親も体が大きくてにぎやかな人たちだが、おおらかで優しそうな方たち。孫息子とその友達を心から喜んで迎えてくれているのがわかる。昼ごはんは大きなドラド(白身の魚。「ヘダイ」、「南米産の大型のカラシン科の淡水魚」と辞書にはある)の炭火焼。お父さんが庭の炉で焼いてくれたドラドは香ばしく、身はしっとり。一緒に食べた野菜サラダとじゃがいものピューレの塩加減が絶妙… お母さんは料理の達人と見た。食後はお父さんがボートを運転してパラナ川の支流で釣り。夜は町のレストランで食事。

4月1日 夜半から激しい雨が降り始める。今夜は午前1時のバスでブエノスアイレスに移動するので道が心配だ。朝ごはんは揚げパン。小麦粉と牛脂を練って焼いたクリオージョという堅パンがこちらにはあるのだが、同じ材料を油で揚げた塩味のもの。これにドゥルセ・デ・レチェ(ミルクジャムに似たもの)やジャムをつけて食べる。直径5センチぐらいの円盤形で、何かに似ていると思ったらハンガリーで食べたランゴシュでした。ランゴシュは大きさとしてはこの倍以上あって、その上にすりおろしたチーズやサワークリームをのせて食べます。街角で売っているファーストフード。美味しいけど、こういうものを食べ続けるとどうなるかはおわかりですね??
 お昼は鶏肉の煮込み。庭に生えているローズマリーなどのスパイスがきいていて美味。私も持参してきたインスタントラーメンを出したが、作らせてはいただけず、説明だけさせてもらった(その後のたよりではすっかり気に入ってもらえたようだ)。午後はまたボートにのってパラナ川に遠征。夕方、友人のダンナさんの運転する車でサンタフェへ。街中の広場で民芸市をやっていたのでそちらをひやかし、ハカランダの種の殻をつかった工芸品?をお土産に購入。洋銀や半貴石の細工物もきれいだったけれど、雨がぱらついてきてゆっくりとは見られず残念だった。
 サンタフェの中心街は大きくて古い建物が立ち並んで壮観だ。しばしばブエノスアイレスに次ぐ第二の都市とよばれるロサリオも同様だ。サンタフェ・ビールの直営ビアハウスで遅い夕食をとったのが11時すぎ。まだまだ町は賑やかで子どもたちの姿も見かける。明日はマルビナス(フォークランド)戦争の死者を悼む日で祝日扱い。