孤独なツバメたち(続)

 さっそく観てきました。これはおすすめ! 
 監督曰く「青春群像としてみてもらって、そこから社会背景について考えてもらえれば」とのことでしたが、そのことば通り、のびていく若者たちの姿がさわやかな印象を残す映画でした。
 1990年代から多くの日系ブラジル人が暮らす浜松を舞台に、小さいころ来日したり、または日本で生まれ育った少年・少女が登場します。工場で毎日12時間働いた後、同じ日系人の子どもたちの勉強をみてあげる少年。更生した元ギャングの少年、ヒップホップのダンスに打ち込む少年たち。ところが、2008年の秋、リーマンショックに端を発する不況が少年たちを直撃します。恋人や仲間と別れてブラジルに帰らなければならない子も出てきます。カメラは、リーマンショック前後のその子たちを、2年半かけてじっくりと追っていきます。
 日本では親子が語り合う時間もないけれど、ブラジルにいるときの10倍近いお金が稼げる。好きなものは買えても、「外国人」はいつまでたっても出世できない。何もしていないのに街では警官に職務質問を受ける。そんななかでも一所懸命仲間を思いやって手をさしのべる少年が、一度の過ちで国に強制送還されそうになる… いっぽうで過ちをおかし、少年院に入ったことで自己分析を深める少年がいる。光と影が交錯し、さまざまなことを考えさせられる映画でした。
 ぜひ多くの若い人たち、日頃外国籍の人たちとあまり接点のない大人たちにも観てもらえればと思いました。

6月15日(金)まで。午前10時20分(土・日のみ10時)の一回。
新宿K's Cinema こぢんまりと快適な映画館でした。