巣づくり

昨年の秋に作って、シジュウカラのためにかけてあった巣箱を取り外しに行った。ついでに空の巣を取り出して、どんな素材で作られているのかなども見せていただく。どんぐりの雄花や草の茎、落ち葉、犬の毛?、毛糸… いろんな小さな素材を積み重ねて作られた巣には作り手の個性がうかがえるようで興味深かった。

小さな体で何百回と往復してつみあげただろう巣を産卵もせずに放棄されたものもあれば、卵を残して親鳥が失踪した巣、ヘビのレストランや、ゴキブリやクモのすみかになってしまった巣箱もあった。巣箱のかけられた環境、巣作りの時期とメスの産卵のタイミング、気候やえさになる虫の発生状況など、多くの要素がからみあって、それぞれの利用方法になるのだろうけれど…

私が子どもと作ってかけた巣箱は、ぎりぎりまで誰のお役にも立ちそうもなかったが、ほかの巣箱からヒナたちが巣立とうというころになってようやく入居者があり、ヒナたちは元気に巣立っていったそうだ。あらわれた巣は、見せてもらった巣のなかでは一番小さくて質素だったのではなかろうか? それにもかかわらず巣立っていったヒナたちに、小さな希望を感じたのだった。