バラがきた日

九月に送られてきて、親子してあかずにながめていた種苗カタログのなかから、子どもがどうしてもというので注文していたバラの苗が届いた。狭いベランダしかない借家住まいの身ではつるバラのアーチづくりなど望めもしないので、直立性?のバラの苗木一本。おおわらわで必要な鉢などをそろえる。

ホームセンターの通路で、植えつけ方の書いてある紙を握りしめて右往左往。「適当でいいじゃない」という母に、「ちゃんとしないでバラが枯れちゃったらかわいそう」と一所懸命の子ども。帰宅して植えつけて水をやり、ほっと一息つきながら何気なく「りんちゃんの分もきれいに咲くといいね」と言うと、神妙にうなずいた。二年前の冬、私たちの不手際で死なせてしまった小さなヘビのことを、彼もまだ覚えていたようだ。