「手」に惚れる

髪を切った。もう二年ばかり同じ美容室に行っていて、ほとんどずっと同じ人に担当してもらっている。その店に行くのは値段の安いこともあるが(もともとこのあたりは物価が安いのだけれど)、一番はその「人」に担当してほしいから。

たぶんお店の店長のような立場にいる、私よりは数歳若そうな女性だが、お洒落にうとい私がつたない注文をしてもかならず意を汲んでくれ、希望どおりに仕上げてくれる。

その店では最初に担当者の希望を聞いてくれるので、アンケートの「あまり話かけてこなくて」「技術のある人」というところに丸をつけたら、当たったのが彼女だった。特別寡黙というわけではないけど、相手を見ておしゃべりの調節のできる人らしい。

最初のときだったか二回目だったか、会計をしたときにその人の手をみたらあかぎれだらけ。パーマの薬剤や水による手荒れなのだと思うけど、それを見たときに、信頼できそうな感じがしたのだったが、時間が経ってみてそのことが証明されたように思う。

私も、自分にできる最高の仕事をしなくてはね。