いやはや2

たしかに「眠れない」気分にさせる映画ではあったのですが、けっきょくよく寝ました(笑)

『アメリカばんざい crazy as usual』が扱っているテーマのひとつは、マイケル・ムーアの映画、とくに『華氏911【楽天ブックスならいつでも送料無料】華氏911 コレクターズ・エディションなどと共通していて、若者が軍隊に入ることを志願する背景に貧困(経済格差によるもの)があるということだが、違うのは「その後」をよりリアルにわからせる点かな? つまり、戦場で命を失うばかりが犠牲ではなく、生きて戻ってきてもPTSDに悩まされたり、あるいは放射能の後遺症に悩まされたり、軍で身につけた技術は職を得るためには役立たず、ホームレスにならざるをえなかったり… そしてホームレス仲間がささいなことをきっかけに殺しあってしまったりという現実。

登場人物のなかには日本人と結婚した男性もあり、彼などはイラクに行くことを拒否して除隊になり、現在では兵士たちの相談にのったり、高校を回って自分の知った現実を若い人たちに話すような活動をしている。その家族から見た日本についてのコメント「日本はどんどんアメリカみたいになっている」などは耳が痛くなるもの。

かすかな希望を感じたのは、最初登場したときは暗い表情だった若者(帰還兵)が、それから1年以上たった映画のラスト間近では、自分たちのつらさをラップにして歌ったり、女の子とデートしようという元気を取り戻している場面。自分の体験を誰かと語りあって共有したり、また周囲の助けを得られることによって、人生をもう一度取り戻すことは不可能ではないということを指し示しているようだった。

この映画を観ながら、身を切られるような思いをした。母として、絶対にこんな目に子どもを合わせたくない。では、どうやって? を考えるとき、私(たち)の真価が問われるのだと思う。文字通りの戦闘がおこなわれる場だけが「戦場」ではないのだから。