向かいの窓

近所のレンタルビデオショップが、五本で一週間千円セールをしているので、このところ週二本はあたらしい(観たことのない、という意味で)映画を観ている。(三本は子どもが選ぶ。)

アドベンチャー物にもアクションにも興味はないので、自然とドラマ系に目がいくのだけれど、どんな映画も一度は観て損はないもの、という気がする。最近のヒット作はこれ。機会があれば購入してもいいぐらい。

向かいの窓 [DVD]

向かいの窓 [DVD]

ローマの集合住宅に住んでいる生活に疲れた主婦が、家にまいこんできた記憶喪失の老人がきっかけで、日頃から気になっていた向いの部屋の男と知りあって… というとなんだか、昼メロみたい。で、このジャケットもまさしくその路線なんだけど、イタリアでは映画賞もとった作品で、日本ではイタリア映画祭で上映されたにもかかわらず、一般公開にはいたらなかったという。

記憶喪失の老人は、第二次世界大戦強制収容所にいたユダヤ人の菓子職人。菓子職人になりたいという夢をもちながら、生活のために好きでもない仕事に心身をすりへらしているジョバンナは、老人と恋に出会うことによって、自分の生きる道をみいだしていく。

歴史的な背景や、老人の悲恋といったシリアスなテーマにも考えさせられたけれど、この映画の良さは生き生きとした街角での会話だ。子どものベビーシッターを頼む仲のよいアパートの隣人(彼女は職場の仲間でもあり、恋のアドバイザーでもある)との会話、ジョバンナが小遣いかせぎにケーキをおろしているバーの女主人との会話、クリーニング店での会話… さりげないけど人間味にあふれていて、おもわず自分もそのなかに入っていきたくなる。

監督はトルコ出身。こんな素敵な映画がDVDでしか観られないなんて残念なことだけれど、DVD化されていたことに感謝しなくては。