マプチェーテウェルチェの遺体が返還される

www.telam.com.ar

 

ラプラタ大学付属のラプラタ自然科学博物館で展示・保存されていたマプチェーテウェルチェのカシーケ(リーダー)など遺体の一部、4名の方のものが返還されたというニュース。19世紀末の先住民討伐作戦(軍隊によるもの)の折に殺害もしくは捕虜とされた方々で、20年近く前からブエノスアイレスのマプチェーテウェルチェ・コミュニティのメンバーが返還を要求していました。墓をあばく形で収集された個人(著名な博物学者です)のコレクションが博物館に寄贈されていたものです。

マプチェはチリでアラウカーノ、アラウコ人として知られている先住民族で、テウェルチェはアルゼンチンのパタゴニアを中心に暮らしていた先住民族。互いに影響を与え合ってきた歴史があります。

ラプラタ自然科学博物館には、まだ1万体の先住民族の遺体(そのうち6000は頭骨)が保管されているそうです。

ビクトルの死

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チリ、サンチアゴの国立スタジアムで、1973年の軍事クーデターのおり殺害された歌手ビクトル・ハラの最期を再現した人形劇。といってもかなり生々しいもの。クーデターが起こったのが9/11で、彼の命日は16日だと現在ではわかっているようです。

 

セーヌ河をカヌーで

昨年の国連気候変動会議(COP21)のおり、セーヌ河上にカヌーでさっそうと現れた若いひとの出演する動画。エクアドルのサラヤク地方を石油開発からまもろうとしている先住民族キチュアとスウェーデンの血をひく女性が語り手(英語)。

 

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ニュースで見たときに、まさかエクアドルからカヌーで大西洋をこいできたのかと思ったが、さすがにそうではなかったらしい(笑) 

 

このコミュニテイについての、くわしい日本語情報はこちらにあった。記事のなかで紹介されている映像も興味をひかれる。

jp.globalvoices.org

 

少し前から米国でも石油パイプラインの建設に反対するネイティブアメリカンのスーの人たちの行動が話題になっているけれど、飲み水が汚染されてしまったら、石油もその他の鉱物資源も何の役にも立たないことがわからないというのは単純に考えるとおかしな話だ。その土地の自然から得られるもので暮らす人たち(たとえばここではキチュアの人たち)はともかく、都会に住んでいれば関係ない気になるのは仕方のないことかもしれないが、年に数日でも、豊かな自然のなかでいやされたいという気持ちをもつ/そんな経験がある人であれば、無関心ではいられないと思うのだが、どうなんだろう?

 

そういえば、アルゼンチンで巨大鉱山開発にNo!をつきつけた人たちのスローガンは「水は金よりも貴い」だったし、スーの人たちのかかげていたメッセージボードにも「水はいのち」と書かれていたような。

 

 

 

 

先住民族映像作品フェスティバル

www.precolombino.cl

 

チリ、サンチアゴの先スペイン期芸術博物館(上記リンク)で、来月5日から11日に、こちらの博物館主催の先住民族に関するビデオや映画などを上映するフェスティバルがあるとのこと。

参加作品のほとんどが、ラテンアメリカ各国から公募された先住民族に関するものだけど、一作品だけアフリカの先住民族についてのものがあるようだ。

アルゼンチンからも、主な登場人物がすべて北西部の先住民族コージャ(colla, kolla)出身という映画”Pallca"が参加の予定。

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追記 10日まで TOTOギャラリー・間(ま)|TOTO で、上記の博物館の増築部分(?)の模型を見ることができる。チリ出身の建築家スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集

カタログには「チリ・プレコロンビア芸術博物館」として記載。プレコロンビアとは、「コロンブス前」というスペイン語で、実質的にはスペインの植民が始まる前の時代の、ということ。

アン・ハサウェイの「書く女」3作

 

べつにファンってわけじゃないが、シェイクスピアの奥さんの名前をもらった女優さんの、「書く女」になる話がたまってきたのでままとめ。

 

プラダを着た悪魔 (字幕版)

 

これはすごく有名な作品だけど、不本意な場所におかれたヒロインが、上司の仕事への情熱にふれて成長していく物語でもあり、「書く女」になるまでのお話でもある。「悪魔」な編集長がヒロインの味方だとわかるラストが最高でした。

 

ワン・デイ 23年のラブストーリー [DVD]

 

一組の男女の、23年間の同じ日を定点観測するというメロドラマ。ヒロインは、なかなか本当にやりたいことができず、かつ、好きな人とも結ばれずにいてやきもきするのだけれど、ついには念願かなって小説家になり、愛する人と結ばれるというお話。ただし結末は悲しい。

 

ジェイン・オースティン 秘められた恋 [DVD]

 

日本だとどのくらい反響があったのだろう? 英語圏では評価の高い作家ジェイン・オースティン(1775-1817)が作家になる前の時代のお話。生涯独身だったオースティンの、秘められた恋が描かれている。随所に、彼女の小説の登場人物をほうふつとさせるキャラクターや逸話がちりばめられていて、オースティンの読者なら楽しめることまちがいなし。

 

また、この映画をみていると、当時の英国社会では女がものを書くなんてことはトンデモナイことであり、オースティンが匿名で書いていたことをしめすシーンがある。それ以前に、女性には相続の権利がないとか、ほとんど自活できる職業はないとか、そういう時代。ちなみに、当時の英国社会には働かなくても暮らせる方々が多くいらしたらしく、その収入源て… と意地悪な/当然の想像もしたりするのだが。(笑)

 

ゲド戦記』の作者で、SF界の大御所ル=グウィンも、デビュー当時(すでに20世紀になってましたが)、あえて女性らしくない表記を選んだという話を聞いたこともあり、書く女が生きづらい世の中というのはそうそう変わらないらしい。

 

 
 

 

まあ、むつかしい話はおいといて、この三作、どれもそれぞれ魅力のある作品なので、ぜひ。

秘密の花園からの報告

 

今週が今年の夏の暑さのピークとなるというニュースを聞いたけれど、ベランダの秘密の花園(笑)は秋の気配。

ミニトマトのアイコは全盛期30個の実をつけていたけれど、残りは5個。オクラは地味に収穫がつづいたが、いまのところ小さな花芽をふたつ残すところとなり、これで終わりかな…

ピーマンはまだ少し収穫できそう。

以前も書いたけど、自分で採ってきた種を育てるのが、思いがけず楽しい。オシロイバナだと思っていたら鶏頭だったとか、いろんなハプニングもあるけど、それも込みで面白い。ふだんは道端で見かけるだけの植物も、小さな芽から観察していると新しい発見だらけだ。ハゼランはのびのびと育って、暑さに対抗するかのようにピンク色の小さな花を毎日咲かせている。先日、多摩川の河川敷で採ってきた桑の実もしっかり芽吹いた。これを秋には小さな鉢に植え替えて、来年には実のついた盆栽ができたらいいなあ…

 

 

鏡のなかのボードレール

 

ボードレールの詩は、たぶん翻訳でもほとんど読んだことがないと思う。フランス文学は、ほとんど読まない。それなのに、この本を手に取ったのは、「黒い女たちの影とともにたどった旅の記録」という惹句に心ひかれたためだ。私自身、ラ・ネグラ(黒い女)と呼ばれる歌い手の声にふれて人生が変わってしまった人間でもあるし。

著者で詩人のくぼたのぞみさんは、本書のなかで、ボードレールの詩集『悪の華』に登場し、詩人の”ミューズ”ともいわれてきたジャンヌ・ドュバルや、南アフリカ出身でだまされるようにして英・仏にわたり、200年近く体の一部を標本としてさらされつづけたサラ・バートマン、くぼたさんが多くの作品を訳してこられたクッツェーの小説『恥辱』の登場人物など、さまざまな形で利用されたり、一方的に表現される側だった女性たち、彼女たちの側からみたら世界はどう見えるのだろう、ということを問いかけている。という、かなり濃い、重い内容の本なのだけれど、まるで話しかけられているような口調がここちよく、するすると読めてしまう。

鏡のなかのボードレール (境界の文学)

 

また、この本からは、黒人女性のジャズボーカルを好み、詩を書き、『北米黒人女性作家選』に触発されて翻訳を始めたというくぼたさんの心の旅もすけてみえる。じつはもう20年近く前のことになるのだが、直接くぼたさんとお会いする機会を得、アラブやアフリカ、ラテンアメリカなどの女性の文学にひかれる仲間たちとともに勉強会(と称する飲み会)で集まっていた時期があった。なので、門前の小僧のようにクッツェーの名前もきいていたのだけれど、これまで翻訳家としてつみかさねたお仕事を通しての研究と、この国で女性として生きてきた経験から、このような果実を生み出されたことに、「さすが、エスペランサ姉さん!」と感じいらずにはいられない。

 そして、この本のなかではふれられていないけれど、この間くぼたさんが追い続け、訳してもいる、ナイジェリア出身で、いまはアメリカにいるアディーチェという若き女性作家の作品や発言も、くぼたさんをおおいに触発する存在なんだろうと思う。

 

半分のぼった黄色い太陽